作業現場で使う工業用コネクタやコンセントを選ぶとき、素材の特性を気にしたことはありますか。
静岡県焼津市の株式会社ヤイズ電工では、熱硬化性樹脂を使った産業用配線器具の製造・組立を長年手がけています。
この素材がなぜ配線器具に適しているのか、現場の視点から特徴をお伝えします。
熱硬化性樹脂の基本的な性質

熱硬化性樹脂は、加熱によって化学反応を起こして硬化し、一度固まると再加熱しても軟化しない性質を持つ樹脂です。
分子が三次元の網目構造を作るため、高温下でも形が崩れにくく、寸法が安定しやすい点が大きな特徴です。
電気絶縁性や耐熱性、機械的な強度に優れるものが多く、電気部品や産業機器の部品に広く使われてきました。
熱を加えても溶けないため、配線器具のように通電や摩擦熱がかかる場面でも安心して使える素材といえます。
一方で、一度硬化すると再成形が難しいため、成形時の精度や金型の管理が製品の品質を左右します。
当社ではこの特性を活かし、コンプレッション成形で産業用配線器具の外郭や絶縁部分を作っています。
耐熱性・形状保持
特徴:高温でも軟化せず形を保つ
配線器具での利点:通電時の発熱に対応しやすい
電気絶縁性
特徴:電気を通しにくい
配線器具での利点:安全性の高い絶縁構造を実現しやすい
産業用配線器具に使われる主な熱硬化性樹脂
当社で取り扱う熱硬化性樹脂には、フェノール樹脂、乾式不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂があります。
フェノール樹脂は耐熱性と電気絶縁性のバランスが良く、配線器具の絶縁部分やハウジングに適しています。
乾式不飽和ポリエステル樹脂は寸法安定性と絶縁性に優れ、成形品の精度が求められる場面で役立ちます。
エポキシ樹脂は接着性や耐薬品性が高く、部品の接合や過酷な環境下での使用に向いています。
これらの材料を用途に合わせて選び、金型によるコンプレッション成形で製品に仕上げます。
一般ゴムも併用し、パッキンや防水部材として組み合わせることで、現場で求められる耐久性を高めています。
コンプレッション成形のポイント
成形ではプレヒーターなどで材料を加熱し、金型に入れて圧力をかけます。
金型を約150℃に保ち続けると、材料はいったん液状になった後、化学反応で固化します。
一度固化すると液状には戻らないため、金型の温度管理と圧力の調整が重要です。
当社では26t手動プレスや37tプレスなどを使い、製品の大きさや形状に合わせて対応しています。
熱硬化性樹脂は硬化後の修正が難しいため、成形前の材料計量や金型の清掃を丁寧に行います。
検品はダブルチェックを基本とし、寸法や外観の確認を徹底しています。
産業用配線器具製造での実際の活用

当社が手がける製品には、リニア中央新幹線のトンネル工事で使われるコネクタや、バッテリーフォークリフトの充電コネクタなどがあります。
これらの現場では、振動や粉じん、温度変化が想定されるため、熱硬化性樹脂の耐熱性と絶縁性が活きています。
成形後は汎用旋盤やフライス盤で真鍮やアルミなどの金属部品を加工し、ボール盤やヤスリで調整したうえで組立を行います。
資材調達から成形、機械加工、組立、検品、出荷まで自社で一貫して対応できる点が強みです。
昭和59年の設立以来積み重ねてきた経験を基に、安全面にも配慮しながら丁寧な作業を心がけています。
商社さまやメーカーさまからのOEM・受託製造のご相談にも対応しています。


